耐震改修工事@東葛西
日経新聞のWEBサイト4月22日付に今回の地震に関して興味深い記事が載りました。
『~木造2階建てのアパートで、1階が完全につぶれていた。
土台と基礎はアンカーボルトで固定されているが、土台と隅柱にホールダウン金物がない。
このことから、新耐震基準導入以降の住宅だと判断した。
新耐震基準導入以降の住宅が、本震の前に倒壊していたと考えられる。』
新耐震基準とは昭和56年に施行された耐震基準で、阪神大震災の際、
昭和56年以前の住宅は多くが倒壊しましたが、新耐震基準以降の建物は
ほとんどが倒壊を免れた、といわれました。新耐震基準は、『倒壊・崩壊せず人名が守られること』を目的として
規定されました。それが今回の地震ではその目的が果たされなかったようです。
記事の後半には、旧耐震基準の古い建物が倒壊する中で、新耐震基準の
建物は目視ではあるものの、被害が確認されなかったという記事もあり、
新耐震基準の建物が強いことにかわりはありません。
でも『新耐震基準だから絶対安心』なんていうことは、自然災害の前にはありえない、
ということがわかりました。
よく考えれば当たり前。だからこそ、できる範囲で安全に暮らす為の努力をしましょう。
今回はそんな意味も込めて、昨年当社が行った耐震改修工事の様子を
ご紹介したいと思います。
かなり使用感が出ていますね。
しかし、新耐震基準以降も大きな地震があって問題が指摘されるたびに、
新しい打ち手が追加されます。冒頭の記事に『~土台と隅柱にホールダウン金物がない。』とありましたが、
このホールダウン金物が義務付けられたのは平成12年。ですから、このお宅も新耐震基準以降の建物ではありますが、
やや耐震性に不安があったので、耐震改修を行うことになりました。耐震改修は、当時の設計図面と現場の状況を確認し、手を入れる必要がある
かどうか耐震診断を行って、必要アリと判断されたら、実際の工事が始まります。既存の建物の耐震性をアップするための打ち手は3つ。1つ目は、接合金物で構造材のつなぎ目を強化すること。
2つ目は、壁面の骨組みとして筋交いを新設すること。
3つ目は、壁自体を強化すること。
基本、この3つで行います。
早速見ていきましょう。
平成12年から義務付けられたホールダウン金物の役割の代替品です。
ちなみにホールダウン金物とはこんなものです。
さすがに住みながらそんなことはできませんから、鉄のプレートで強化します。
このような補強をざっと200枚ほどのプレートを使い強化していきます。
外壁側の壁は断熱材で構造が覆われていますが、一度めくって補強します。
こちらは押し入れの筋交い。
柱と梁だけでつくられた壁面は横揺れの時に平行四辺形のように変形しやすい
ことを想像していただけると思います。
そのような壁面に筋交いを入れて強化します。
筋交いの両端は現場で整え収めます。
このように柱、梁、筋交いと、構造の骨組みにあたる部分の強化が終わったら、
今度は面で強化します。
その名もかべ大将。住宅用建材大手、DAIKEN(ダイケン)の商品です。
人の正面の白い壁、それがかべ大将です。
骨組みをかべ大将で覆うことで、強い壁をつくり耐震性を高めます。
かべ大将で覆った下の面。
表面の様子が異なっています。
こちらはかべ大将の上にラスボードという板を貼っています。
かべ大将はクロス貼りで仕上げますが、塗りで仕上げたい時には、
このラスボードを貼ります。
こちらは押入れの中。
仕上げもしませんので、コストを重視し、構造用合板で仕上げました。
耐震性を上げるための3つの打ち手、
1.接合金物で構造材のつなぎ目を強化すること。
2.壁面の骨組みとして筋交いを新設すること。
3.壁自体を強化すること。
お分かりいただけましたでしょうか?
自治体ごとに、耐震診断、耐震改修工事をする際に補助金が支給される
場合もあります。
そのときが来てしまったらもう手遅れです。
地震の揺れに不安のある方は、ぜひお声かけください。