創立以来、私たちはさまざまな素材と出会ってきました。加工しやすいけれど、すぐに劣化してしまう新建材。一方、造り手にとっては扱いづらいけれど、時間とともに味わい深くなり価値を上げていく自然素材。失敗して学んだこともありました。安全で住み心地が良く、長持ちする家をつくるために、いままで出会ってきた数々の素材の中から国工務店が積極的に使っている素材をいくつかご紹介します。
質の良い木材を使って建てられた木造建築物は、明治時代から残るレトロな住宅で証明されているように、頑丈で簡単にはつぶれません。国工務店では、柱や梁など家の骨組みとなる材料(構造材といいます)は、紀州林業の老舗“山長商店”などから仕入れた高品質な無垢の国産材を使っています。
毎日触れる床だからこそ、肌触りがよく断熱性に優れ、体にやさしい無垢材を使っています。柔らかくて色合いの変化を楽しめるパイン材、香り高く強度があり耐久性に優れているヒノキ、冬もじんわり温かくて足触りの良い杉など、それぞれの木の特徴を比較して、お客様のご予算とお好みに応じて使い分けています。
リビングカウンターやデスク・テーブル・飾り棚など、大工がオリジナルのカウンターを造作する時には、質感が良く固くて狂いが少ないナラかチークを使います。
玄関ドア、室内の開口部や扉などの建具は、古くからおつきあいのある建具屋さんが無垢材を使って、ひとつひとつ丁寧に作ります。そうして仕上がった建具は、時が経つにつれ無垢の床や柱とともに深い飴色となり、味わいを増していきます。最近は、大手メーカーが大量生産する既製品の建具が普及していて、アルミや合板に木目調のプリントシートを貼っただけのドアが大半を占めていますが、こちらは年月とともに表面が剥がれたり膨らんだりして劣化していくばかりです。また、狭小住宅では部屋を広く見せるために建具を天井いっぱいにして開放感を演出するやり方があるのですが、天井までの高いサイズの建具が既成品ではまず見つかりません。本物の家には、やはり本物の建具。私たちは無垢の木に囲まれた豊かな暮らしをご提案します。
城東地区では隣の敷地との距離が近いため、庇(ひさし)を出せない家が多く、そのため外壁は雨風にさらされ、モルタルやサイディングなどの一般的な外壁材の場合すぐに汚れてしまいます。一方、ガルバニウム鋼板は、汚れにくく錆びにも強い素材。たとえ汚れたり破損しても部分的に取り換えができるので、メンテナンスがとてもラクです。(因みにデザインチェンジが数年ごとに行われるサイディングは、部分補修をしようとしても同じものが確保できないことが多いので使いません。)使い勝手がよく、クールで洗練された雰囲気は、住宅だけでなくカフェなどおしゃれなお店の外壁材としてもよく使われています。
できるだけ冷暖房に頼ることなく、一年中家の中を快適な温度に保つには、断熱材は必要不可欠です。国工務店では、新聞紙の再生紙を原料とした自然素材の「セルローズファイバー」、熱を伝えにくいガスを泡状に抱き込ませる「硬質ウレタンフォーム」、ガラス繊維でできている「グラスウール」の中から、家の形状や予算に合わせて、必要な断熱材をご提案しています。
障子といえば昔の日本家屋のイメージかもしれませんが、実はモダンデザインにも違和感なく溶け込み、雰囲気のいい仕上がりになるので、国工務店ではよく使う建具です。断熱効果や防音効果に優れているので、窓に設置すると真夏の射すような日差しも眩しい西日も受け止めて、部屋に柔らかい明かりを取り入れてくれます。またリビングの間仕切りとして使えば、閉めたときはほのかな光を通し、開ければ一間続きのすっきりとした大空間に。視覚を遮らないため、部屋を広く見せる効果もあります。昭和8年に書かれた谷崎潤一郎の「陰翳礼讃(いんえいらいさん)」という随筆の中でも障子の美しさについて書かれていますが、今なおその魅力は色褪せることのない、優れた素材です。 最近では破れにくい和紙の障子紙も出ているので、小さなお子さんがいても安心して利用できます。