狭小地や変形地で快適な住まいをつくるには、さまざまな工夫が必要です。たとえば、陽当たりの悪い土地でも光や風を取り込む、狭い空間を広く見せる、外部からの視線を遮りつつ開放的に暮らす、収納スペースをたっぷり確保するなど。限られたスペースを最大限に活用して建てた狭小住宅は、わたしたちならではの手法がギュっと詰まっています。小さな家の広がりのある空間で快適に暮らすための工夫をわずかですがご紹介していきます。
部屋の狭さを感じさせない工夫のひとつに、“建具の高さを天井に揃える”という方法があります。建具の上にある「下がり壁」が無くなるので、視線が遠くまで抜けて、部屋が広く感じるのです。
住宅が密集していると、外部からの視線や家の中から見える景色が気になるもの。そんなときには、お互い視線が合わない位置に光を採り込む窓を設けます。街路樹を借景にしてグリーンを楽しむのも素敵ですね。
暮らし方のイメージができていれば、家具や収納スペースを効率よく配置することができるので、スッキリ暮らせます。写真は、壁のサイズぴったりに合わせた大工さん手作りの造作家具で、わんちゃん2匹分のサークル兼テレビ台兼PCデスクとして使っています。
ワンフロアで圧迫感を与えずに空間を2つに分けるには、壁ではなく腰壁でゆるやかに仕切ります。視線がまっすぐに外へ抜けるので、空間を広く見せることができます。
階段下のデッドスペースは意外と大きな空間です。収納のほかにもPCコーナーやトイレなどさまざまなスペースに生まれ変わるので、有効に活用しましょう。
庭が欲しくても都心じゃなかなか…。という方にお薦めなのが2階のアウトドアリビング。高さ180cmの塀でぐるりと囲めば、青空を切り取ったような気持ちのいいスペースが出来上がります。
玄関が狭いからといって、床から天井まで届くような大きな玄関収納を設置してしまうと、圧迫感を与えさらに狭く感じます。カウンタータイプの下駄箱で空間を作り、廊下への視線の抜けを利用して圧迫感を抑えると開放的で広々とした印象の玄関になります。
限られたスペースのリビングには、造り付けの家具が便利です。写真のスタディカウンター、壁面収納、赤いソファーはすべて大工の手作りでサイズもぴったり。余計な家具を置かずに済むのでおすすめです。
みんなが集まるリビングだから、スッキリしながらも収納は増やしたい。そこで目を付けたのがロフトへ上がる階段下のスペース。リビングから1段高くして踊り場をつくり、段を利用した引き出し式の収納を造作しました。来客時にも小物をササッと隠せて便利です。
洗面所、脱衣所、トイレを1ルームにすることで、劇的に省スペース化できます。
キッチンを広く使うちょっとした工夫として、キッチン吊り戸を引き戸にする方法があります。開き戸と比べて開くときにスペースを取らないので、空間を広く使えます。
往来の多い住宅地で気を付けなければいけないのが、一階の窓の位置です。通行人と目が合わないように、窓の高さを上に設置するとプライバシーを守り、明かりも取り入れることができます。
周囲を高い建物に囲まれている敷地では、天窓を活用して自然光を取り入れたり、吹き抜けで縦方向の広がりを持たせることで、明るく開放的な空間をつくることができます。
デッドスペースは家だけでなく、家具にも存在します。造り付けのベンチやソファーの下には大容量の収納スペースを作るようにしています。
スケルトン階段には、視線が抜けるので開放感を得られる、天窓からの光が階段を通り抜けて階下まで明るくなる、デザインが美しい、などたくさんのメリットがあります。
ロフトは小屋根収納という位置づけですが、それだけではもったいない。ゴロンと横になるにはちょうどいいスペースなので、畳を敷いて快適な空間を作ってしまいましょう。一部屋増えたようなイメージなので、客間としても機能しそうです。
造作のオリジナルキッチンは、スペースに合わせてピタッと収まる優れもの。収納のカタチも器具の種類も自由自在なので、メーカーのシステムキッチンにはない、自分だけのオリジナルキッチンが作れます。
大好きな本に囲まれて暮らしたい…!そんな本好きの憧れ“図書リビング”は壁面をうまく利用すれば狭小住宅でも作れます。
快適な水回りスペースをつくるには、換気と採光です。立地の問題で窓が付けられないときでも、開閉式の天窓を取り付ければ、いつでも明るく風通しのいい空間に!
家の中に隙間を見つけても、そこにピッタリ入る収納家具を探すのに一苦労…。ですが、国工務店では建設時に大工さんがサイズぴったりの隙間家具を作ってくれます。写真は、子ども部屋の構造壁の隙間に造り付けたビルトインの大型収納。普段は壁の中に収まっているのでスッキリです。
本棚を置くスペースがない!小物を飾るスペースもない!いえいえ、そんなことはありません。家の中にはデッドスペースは必ずあるもの。たとえばこの書棚。階段の途中にインテリアと調和するようさりげなく造作しました。