さて、先週ご紹介した狭小住宅のヒミツ第二段です。
前回の最後に、みんなが落ち着いていられる場所を確保して、視線の抜けも意識して
狭く見えない工夫をしたリビングをご紹介しました。
実はこのリビングの居場所の話、続きがあるのです。
この写真、前の写真の赤いソファ側から撮影したものです。
ロフトに続く階段を正面に撮りました。
この空間にも、狭小住宅を快適に暮らすヒミツが隠されています。
あててみてね。
な、な、なんと、こんな狭い空間に6つもヒミツが隠されていました。
1つずついきましょう。
①こちらは先週も子供部屋でご紹介しましたが、柱の太さの厚みを利用した書棚です。
普通は壁として埋めてしまう部分です。ひと工夫するだけで何十冊分もしまえます。
狭小住宅には持ってこいの空間創出スペースですね。ちなみに書棚の裏はお風呂です。
②ここにはTVをおきます。ソファの正面ですね。デスクとの境めのコーナーにコードを通す口があり、
③BlueRayなどのAV機器と接続します。扉は籐のような編んだものですので、
リモコンの電波も途切れません。リモコンが届かないというのは、実は結構なストレスになるのです。
④そのお隣は、床下収納。今回の問題で最も正答率が高い”ヒミツ”でしょう。
⑤これいいでしょう?ロフトに上がるハシゴの一番下の踏み板。ひとつだけ広くして、
座れるようにしています。そして、ずっと同じ場所にいて、少々体をずらしたくなったら、
⑥壁に寄りかかります。この背あてが実は絶妙。『こんなの意味あんの?』と思う方には
ぜひ試していただきたい。肩だけで体を支えるのと、肩と背中で体を支えるのでは、断然違います。
少し厚めの雑誌を手に、床にベタっと座って背中にあてた時と、あてない時を比べるとわかります。
こういうちょっとした気遣いが暮らしやすさの差を生むと思うんですよね。
いくら椅子があっても、あまり座り心地の良くない椅子は自然と避けてしまいませんか?
と思った方、本当にするんです。
夜でも本を読みますよ。ライトは踏み板に座っても床に坐わってもどちらでも使えます。
ライトといえばこちら
かなり低い位置につけています。
これ、よくある中途半端に高い位置にあるものだと、圧迫感が出てしまい、
天井の低さ、部屋の狭さが強調されてしまうのです。
ですから、あえてグッとさげて、天井との距離をとっているのです。
これも狭小住宅に隠された狭く見せないヒミツですね。
階段書棚。
小上がり+踏み板1段分の厚みを使って4段の書棚を作りました。
お施主様は大の本好きなので、設計士はどこかに書棚を作るスペースが取れないかと、
いつもチャンスを伺っていました。
さて、この写真にもヒミツが隠されています。
わかるかな?
それは、階段とデスクの間に隠された引き戸です。
もう一度見てみましょう。
これだけオープンな階段があると、寒い冬には冷めた空気がどんどん下に流れていって
スースーしてしまいます。冬って足元が寒いですよね。それを防止する引き戸です。
上部は空いているんです。下部だけの引き戸を閉めるんです。それでも効果があるんですね。
もう一つは、子供の落下防止です。こちらはわかりやすいですね。
足元は排水管があるので、カバーするよりオープンにしたほうが、使い勝手が良いので、
このように開いています。
50㎡弱の狭小住宅のお風呂とは思えない、雰囲気のある浴室です。
タイル、木目、吹き抜け、ハイサイドライトからのひかりがまたいい。
この光はどこから漏れているかというと・・・
天窓から入る光が、この室内窓を通って、間接的に優しくお風呂に落ちるんです。
こちらお風呂の手前側。
洗濯機置場ですね。
カーテンで仕切ります。
洗濯機の上がお風呂の床面より少し上がっているのがわかります。
ここで洗い場と脱衣所が分かれる仕組みです。
ん?浴室入口?
どこかわかります?
って言っても、入口らしきは1つしかありませんね。
ダイニングテーブルの右奥です。
少し床面が上がっているでしょう?
お風呂の床と、リビングの床がフラットで、脱衣所を少し上げてあります。
その下は、もちろん収納です。
こんなに僅かな段差ですが、無駄にはしませんよ。
狭小住宅のアイディアは尽きません。
このお宅は今回で終わりますが、この企画はシリーズでお伝えしたいと思います。
乞うご期待。