「壁の中の本棚」延床57㎡の狭小住宅@船堀 つづき
先週、1-2階部分をご紹介した、延床57㎡の狭小住宅@船堀。
本日は3階部分、子供たちのお部屋を見てまいりましょう。
図面の上下とも、勾配天井になっています。
手前側が東、奥が西。従って右が北になります。
北ということは、お隣様にとっては南側ということになります。
南側の正面に立つ建物は、北側斜線規制規制を受けるので、こうなります。
ですから、3階は2階の半分強ほどしかありません。
限られたスペースですから、子供たちの好きなものにあふれて暮らせるように、
あえて何も置かずにスッキリと完成させました。
ご覧いただきましょう。
二段ベッドや本棚など、 どうしても必要な、場所をとるものを共有することで、
空いている空間を確保しています。
タイトルでもご紹介した壁の中の本棚というのはこちら。
道路と反対側の勾配天井に沿って、デッドスペースを埋めるようにつくりました。
でも、本棚の奥行きはせいぜい2-30㎝程度。
その割に、埋まっている奥行きがデスクと椅子からすると、1mほどあるように見えますよね?
正解はこちら↓
下にキャスターが付いていて、引き出して活用できるようにしました。
「ん?でも、引き出した下部分の奥行きが浅いように見える。」なんて気づいた方は、
かなりするどい注意力を持っていらっしゃると思います。
そうなんです、引き出した本棚の下部分はこう配屋根の下部にあたり、奥行きが深くなるので、
もう一回引き出して、奥に本棚をつくったのです。
入れ子細工の箱のようでしょう?
箱の中からどんどん小さな箱が出てくるやつ。箱根の土産物の定番です。
なぜ箱根で入れ子が発達したかというと、もともとはお椀の入れ子から始まったそうで、
江戸時代、交通の要所だった箱根は、そのころから土産物づくりが盛んで、
飯椀、総菜椀、汁椀を入れ子にして持ち歩くのがとても便利だったそう。
諸説あるかもしれませんが、人間は必要に迫られると知恵が出ますねえ。
右にバルコニーがギリギリ見えていますが、2階から上がってくる階段方向を見たところです。
スペースを優先し、造りつけ収納をつくらなかったので、収納BOXがたくさんありますね。
でも、お部屋の形状がやや複雑ですし、部屋の模様替えもたやすくできるので、
子供たちのお部屋としてはこれくらいでちょうどよいかな、と思っています。
お好みの対象もどんどん変わるでしょうから。
こちらは、1つ前の写真、左側に見えていた収納のさらに左側です。
光と風を取り込み、圧迫感をなくすために、抜きました。
こちらの抜きと、先ほどの壁の中の本棚は、図面でいうと、
デッドスペース部分に作ったものです。
なんせ、57㎡。使えるものは何でも使います。
最後にこちら。
階段手前、向こう側は先ほどご紹介した、北側斜線の影響を受けた、屋根部分。
そのほんの少しの高さを生かして、壁面の収納をつくりました。
そんなに広くはありませんが、このスペースでもあふれかえる女子の小物を
しまっておくには大切な保管場所になるのです。
限られた面積で狭小住宅を建てるときには、壁の内部さえも有効に活用できる
イメージを持っていただけましたでしょうか?
必要であれば、使えるものは何でも使う、できることは何でもトライする。
注文住宅の醍醐味ですね。