耐震診断&耐震改修工事
以前より、ご贔屓にしていただいているお客さまより、「建物が古いので、不安がある。ちょっと見てほしい」とご依頼をいただきました。
このように各室の状況や、小屋裏から確認できる構造などをチェックし、既存建物の配置、柱、梁、筋交いの状況、および築年数から、現在の耐震状況を判断します。
地震の揺れに対する建物の強度の判断は、4つに分かれます。
先ず、1階と2階、それぞれによって強度が異なるのはわかりやすいところだと思います。
もう一つは、縦方向に揺れるか、横方向に揺れるかによって、強度が異なります。
例えば、間口が狭くて、奥行きが長い建物の場合、長辺方向に揺れる地震には強そうですが、短辺方向に揺れたら危険ですよね?
将棋倒しを思い浮かべていただけると分かりやすいでしょう。
建物の縦横は、図面上で横をX方向、縦をY方向と記します。
今回の診断の結果は、
1階のX方向は0.58、Y方向が0.42
2階のX方向が0.74、Y方向が0.53
という結果が出ました。
この基準、日本耐震診断協会によると、震度6〜7程度の地震が発生した場合、0.6未満で、倒壊、または崩壊する危険がある とされています。
このタイミングでお声掛けいただき、本当に良かった。
近々大地震がくる!と言われていますので。
0.6を超えると、倒壊の危険性が少なくなるといわれていますが、せっかく耐震補強をするのですから、安心なレベルである1を超えるように耐震改修を行います。
設計上、耐震補強により強化された後の数値は、
1階のX方向は1.10、Y方向が1.02
2階のX方向が1.17、Y方向が1.02
ということで工事に入ります。
まずは解体を行います。
解体する前にはわからないことも多いので、ある程度は想定しながら進めます。
しかし、想定の範囲を超えることもあります。
こちらは、地震の際に小屋組が変形するのを防止するために、X方向の梁とY方向の梁をつなぐ火打ち梁という構造材。
なにやら真ん中あたりに人為的にあけられた穴が開いていますが、特にボルトなどは入っていません。
このような想定外のことは、この段階でどのように対応するのが良いのか、判断します。
このように、解体する前から計画していた土台と柱をつなぐ耐震金具は、この段階ですぐに取り付けていきます。
今回の耐震補強の打ち手は、この耐震金具の取り付けと、新たな筋交いの追加、構造用合板により壁面を強化するという3点です。
耐震性に不安がある方は、ぜひ何らかの手を打ってください。
特に、昭和56年以前に建築した建物は、旧耐震基準で建てられていて、倒壊の危険性が高いといわれています。
身に覚えのある方は、まずは耐震診断をされることをお勧めいたします。