計画道路にかかった旧家の移動&リノベーション@中葛西
タグ:
古くからのお住まいが、道路拡張計画にかかってしまったため、敷地を後退させなければならなくなりました。
では、旧家はどうするか?
新築に建替えるか、移動して手を入れてそのまま住むか。
今回は、住み慣れた旧家の良さを生かすため、リノベーションをして活用される方を選択されました。
こちらがビフォーの状態です。
今回のリノベーションのポイントは5つあります。
- 道路拡張にかからないところまで建物を動かす。
- 耐震性・断熱性に問題があるので、住宅性能を高める
- 車イスで活動するご家族が生活しやすいようにする。
- 狭いキッチンを拡げる
- 全体をリフレッシュして、再び愛着ある家に作り直す。
という分けで、まずは移転から。
舟を曳くように、建物を持ち上げ動かします。
その後、既存の基礎を壊して、移転する位置に新しい基礎をつくり、建物をその基礎の上に戻すという作業を行いました。
こちらが完成した現地。
全体に新しくなり、ビフォーの時にはなかったスロープとその先に玄関が新設されているのがわかると思います。
耐震工事と断熱工事の写真は、相当ありますが、この施工事例の場ではこの写真だけのご紹介としておきましょう。
耐震は、筋交いと耐震壁、耐震金具を使って強化しています。
断熱は、ネオマフォームと呼ばれる、ボード上の断熱材で外から覆う外断熱の工法を中心に進めています。
ビフォーの廊下です。
壁や柱の焼け具合、長年頑張ってきた年季が感じられます。
こちらが完成後。
漆喰で塗った壁面の白さと、柱や床のこげ茶のコントラストが効いて、日本家屋の風情が感じられます。
左を向くと、手前に増設した玄関があります。
旧家では、ベンチの壁の奥にある玄関だけでした。にある
車イスでスロープを上がることで、土間と廊下の段差をなくしました。
その土間からは、広く、新しくしたLDKにもそのまま入れます。
外から見るとこんな感じ。
新設した玄関と、旧玄関の高低差が、旧家の土間と廊下の高低差。
かなりありますでしょ?
これでは車イスだときついですよね。
昔の家はキッチンとダイニングが一緒でせまいお宅が多かったですよね。
キッチンはモノが多くなりがちですから、どうしても狭くなってしまいます。
ということで、面積も広げた上、収納もたっぷりあるシステムキッチンに変更しております。
こちらのお手洗いは、車いすで開店できるように、2帖大の広さを確保しています。
こちらは2階に上がる廊下から、キチンを覗いたところ。
光が当たる壁に、凹凸の陰影が見えますね。
こちらの壁は、ルナファーザーという壁紙を貼った後、漆喰で塗っています。
ルナファーザーとはドイツで100年以上前に生まれた塗装用壁紙です。
紙と紙の間に木片を混ぜ合わせた自然素材で、呼吸する壁紙と呼ばれています。
小さなぶつぶつが木片です。
通気性と吸湿性がカビや結露の発生を抑えます。
こちらが道路拡張後の現地。広くきれいになりました。
外壁は、シラスでつくられたそとん壁。
そとん壁とは、火山から噴き出すマグマが岩石になる際にできた粉末=シラスを原料とした天然素材です。
深みがあって見た目が良く、高い防水性がありながら、透湿性があるので、湿気をため込みません。
さらに断熱性が高く汚れにくいので、理想的な外壁材です。
ただし、初期費用が比較的高めであるとか、ひび割れが起きやすいなどのデメリットも指摘されていますので、選択される際はそのあたりもよく吟味したうえで、お選びください。